中田敦彦らしくない失敗…。なぜ「松本人志批判」がこれほど炎上してしまったのかを紐解く

皆さん、こんにちは!本日は、Youtube動画の炎上から学ぶ、諍いを起こさないコミュニケーションのポイントについて見ていきましょう。

私は中田敦彦さん(以下、中田さん)のファンです。Youtube大学の動画も数多く視聴していて、その卓越したトーク力、要約力、行動力には尊敬の念を抱いていています。

その彼が、先日投稿したある動画がきっかけで、また炎上していました。その動画とは、大御所のお笑い芸人である松本人志さん(以下、松本さん)へ提言するという趣旨の動画でした。

私も拝見しましたが、エンタメとしては面白くて見応えがあったし、提言自体には考えさせられる箇所も多々ある内容でした。 しかし、日をまたいでネットニュースを見てみると、中田さんに対する多くの批判的な記事が目に飛び込んできました。

動画としては面白かったのに、なぜこの動画は炎上してしまったのか。その謎を紐解いていくと、一般の社会人にも通じるコミュニケーションの注意点が見えてきます。今回は、特に重要な3点に絞ってご紹介しましょう。

中田敦彦さんの動画に見られた3つの問題点

1.主訴がわかりにくい

まず最初に、「主訴がわかりにくい」という点です。

動画を視聴された方に質問です。今回の動画で中田さんが一番訴えたかったことは何だったでしょうか?正解は…私にもわかりません。なぜかというと、主張している内容が多岐に渡っているからです。

今回の動画では、ぱっと思いつくだけでも以下のことを主張しています。

  • 「漫才はコメディ形式の一つ。他のコメディ形式よりも上位に位置づけられるのはおかしい」
  • 「漫才は大衆演芸なので、審査員が評価すること自体がおかしい」
  • 「松本さんがアンバサダーの立場で審査に影響をすることを言うべきではない」
  • 「松本さんから面白くないと評価されると芸人人生に悪影響を及ぼす」
  • 「松本さんの影響力が大きすぎて誰も批判的なコメントができない」
  • 「松本さん以外の新しいスターを生み出すべきだ」等々…

さて、ではこの中のどれが、中田さんが最も訴えたかったことなのでしょう?

これらの主張を一つ一つ見ていくと、それ自体は面白いテーマに思えます。しかし、一つの動画の中でこれらの話題が分散して話されたことによって、「結局、何が言いたかったのか?」がわかりにくくなってしまいました。結果として、ネットニュースの見出しは「中田さんが松本さんを批判した」という、大衆にわかりやすいメッセージで括られてしまったように見えました。

通常、中田さんの動画は、背景画面にその日のテーマについて見出しをつけることで、「今、○○の章の△△について話している」ということをわかりやすく示してくれています。しかし、今回の動画にはその見出しがなく、かつ、一つの結論に収斂する話し方もしていなかったために、視聴者からの理解が得られず、批判の声に晒される結果になったのではないでしょうか


一般人が気をつけるべきポイント

一般の社会人の方も、こうした話し方には注意が必要です。自分が何を主張したいのか、一本筋を通して話さないと、いろんな話題がごっちゃになって、聞き手にとっては「で?結局、何?」と、理解してもらえない結果になりがちです。何かを主張するときは、「これが言いたい!」という一つのメッセージに向けて話題を収斂する話し方をすると、聞き手にとっても理解がしやすくなるでしょう。

2.人に対する批判と行動に対する批判を区別しなかったこと

次に、「人に対する批判と行動に対する批判を区別しなかったこと」が挙げられます

例えば中田さんが、

  • 「アンバサダーの立場で審査に影響をすることを言うべきではない」
  • 「審査員から面白くないと評価されると芸人人生に悪影響を及ぼすのでやめたほうが良い」

といった、特定の「行動」にフォーカスした主張を展開したのであれば、賛否両論こそあれ、多くの支持も得られたのではないでしょうか。この方法であれば、松本さんという人に限定した話ではなく、「こうした行動は一般的にどうなのか?」という客観的な議論に持ち込めるからです。

しかし、今回の動画を見ると、中田さんはどちらかというと、執拗に松本さんという「人」にこだわって話をしている印象を受けました。

  • 「松本さんが審査に影響をすることを言うべきではない」
  • 「松本さんから面白くないと評価されると芸人人生に悪影響を及ぼすのでやめたほうが良い」

のように見えたわけです。

こうした批判の出し方は、えてして「個人攻撃」のように見えてしまい、一般的には反感を買いがちです。

また、本人の意図など誰にもわからないわけですから、「松本さんはそんなつもりじゃないのでは?」といった解釈の余地が生まれてしまいます。こうなると、途端に主観的な議論に移ってしまい、松本さんのファンからは「松本さんはそんな人じゃない」、「審査される側は松本さんに憧れている」といった多岐にわたる反論の声が挙がってしまうわけです。


一般人が気をつけるべきポイント

一般の社会人の方も、誰かに提言するときは、「人」に対する批判は避け、「行動」にフォーカスして議論をする習慣を持つべきでしょう。人に対する批判は大なり小なり諍いの種になりますし、人を責めても本質的な問題解決にはなりません。

例えば子育ての例でいうと、子供が何か良くないことをしたときに、「○○くんは悪い子だね」というのではなく、「○○くんのとったこの行動は良くないよね」と話をしたほうが良いでしょう。

3.周りの人間を巻き込んだこと

最後に、「周りの人間を巻き込んだこと」が挙げられます。

今回、中田さんは動画の最後に霜降り明星粗品さんの名前を挙げ、「松本さんに頭が上がらない人の代表」のような取り上げ方をしました。これは御本人にとっては非常に迷惑です粗品さん自身がどのように感じているかはわからないのにも関わらず、まるで一緒になって批判しているような印象を与えるためです。

とばっちりを受けた粗品さんを守るために、霜降り明星せいやさんや、中田さんの相方の藤森慎吾さんからも擁護のコメントが挙がる事態になりました。こうなると、「中田さんが他人の名前を上げたこと」にフォーカスされてしまい、本題とはズレたところで不要な議論が巻き起こる種となってしまいます

こうした言葉遣いは個人的には大変不快ですが、勝手に粗品さんの名前を使われたことへの怒りは理解できます。


一般人が気をつけるべきポイント

一般の社会人の方も、何かを提言をするときに、三者の名前を勝手に使うことは、相手にとって非常に迷惑な行為なので、絶対に避けたほうが良いでしょう。あくまで、「私個人の意見です」というスタンスを貫き、三者の名前は一人も出さずに意見することが大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか。改めて紐解いていくと、今回の中田さんの動画は、いつも細心の注意を払って動画配信するイメージのあった中田さんには珍しく、反感を買う隙の多い内容だったように感じました。中田さんは通常、参考書籍等の引用元を明示し、「自分はそれを要約しているだけで、自分自身は中立の立場から客観的に判断していますよ」というスタンスを崩さないことで、誰からも反感を買わないことに成功しました。ところが、今回はバリバリに偏った個人の意見を発信したことで、あらぬ反感を買う結果となってしまいました

今回紹介したようなポイントは、私達のような一般人でもついついやってしまいがちなことばかりです。私達も、何かを提言したい、と思うときには、発信の方法や内容に細心の注意を払うように気をつけましょうね

私は今でも中田さんのファンですし、これからも応援していきたいと思いますが、今回の動画に限って言うと、「結果としては、他のやり方のほうが良かったね」という結論でした。

中田さんには、多くの人から愛される芸人であって欲しいので、今回買ってしまった反感を、みんなが納得する形で収めてくれると嬉しいなと思います。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう!